生活サポート基金は、借金や日々の支払いから生活に困っている人を支援する機関であり、事業の一環として貸付を行っています。
しかし、貸付制度には一定の条件や申し込みの際の審査があり、全ての人が利用できるわけではありません。
この記事では生活サポート基金における審査の基準や条件について、以下の項目を解説していきます。
- 生活サポート基金の融資には年収の3分の1以上の貸付ができない総量規制が適用される
- 生活サポート基金の審査では審査前に行う面談で得た生活や金銭状況が加味される可能性がある
- 生活再生ローンは一都三県の住所があり、返済可能な状況と生活を再生する意思を持つ人が条件となる
- ソーシャル・エンジェル・ファンド(ひとり親向け貸付)は東京都内に住むひとり世帯が条件で、連携する2つの機関を介して相談や審査を行う
- 不動産担保ローンは生活再生ローンよりも高い金額を借りられる可能性があるが、不動産を担保にしても審査に落ちる可能性はある
生活サポート基金の利用を検討していて、審査に関する項目が気になる人は、参考にしてみてください。
生活サポート基金は事業の一環として生活者を対象とした無料相談や貸付を行う
生活サポート基金は一般社団法人として運営されている機関で、営利目的の団体ではなく、生活者に対する支援を目的として事業や制度を展開しています。
主な事業としては、以下の6つが挙げられています
- 生活再生のための生活相談事業
- 生活再生資金の貸付事業
- 個人再生ファンド運営事業
- 東京都多重債務者生活再生事業
- 東京都ソーシャル・エンジェル・ファンド運営事業
- 研修・セミナー事業
生活相談事業については、無料で相談を受け付けていて、この相談から貸付制度や別の窓口の利用などを提案してくれます。
生活サポート基金の全ての貸付制度では貸金業法の総量規制が適用される
現在生活サポート基金で行われる貸付制度は、以下の3種類となっています。
- 生活再生ローン
- ソーシャル・エンジェル・ファンド(ひとり親向け貸付)
- 不動産担保ローン
それぞれの貸付制度で求められる条件や返済時にかかる金利は異なりますが、いずれもお金を借り入れしているため、返済する必要があります。
また、生活サポート基金の全ての貸付制度には、貸金業法における総量規制が適用されます。
総量規制とは、貸付業者や機関が利用者に対して年収の3分の1を超えた金額を貸し付けてはいけないという法律です。
銀行や消費者金融から借り入れをして、申し込みした時点で返済が完了が返済していない場合、生活サポート基金からの融資額が低くなってしまいます。
生活サポート基金の融資は生活改善が見込まれる際に提案されるため、他からの借り入れ状況によっては、提案されない可能性もあります。
生活再生ローンは一都三県に住む者を対象に生活再建のために融資される
生活再生ローンは、生活サポート基金が中心的に行っている貸付事業で、生活再建のために使用するお金として融資されます。
貸付限度額 | 相談者希望に合わせつつ、審査を経て決定する |
---|---|
返済期間 | 1ヶ月~120ヶ月(10年) |
融資利率(金利) | 年12.5%以内 |
遅延損害金利率 | 年14.6% |
返済方式 | 元利均等、元利一括 |
担保・保証人 | 連帯保証人が必要 相談者の状況によっては、上記に加えて不動産や不動産を担保とする必要ある |
生活再生ローンによる融資は、前提として以下の条件を全て満たさなければいけません。
- 生活再生ローンの利用によって生活再建の見込みがある
- 将来的にローンの返済が可能である金銭状況や就職環境がある
- 生活サポート基金及び生活再生ローンが支援者によって成り立っていると理解している
- ローンの利用によって生活を再生する意思がある
- 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に住所がある(永住権のある外国籍を含む)
- 契約の際に連帯保証人を立てられる
利用できるのは一都三県に住所がある人に限られますが、消費者金融などで融資されないような状態の人でも、融資を受けられる可能性があります。
具体的な生活再建の用途としては、以下の項目が挙げられています。
- 消費者金融の利用によってできた債務の返済(債務整理)
- 税金や公共料金、家賃などの滞納金の整理
- 過去の利用歴に問題から他の融資先から借り入れできない場合の生活資金
- 債務整理を終えた後で自立するための支援
- 一般的な生活費が足りない場合の補助資金
- 不動産の競売や給与の差し押さえされている場合、再建の見込みがある時の支援
上記の項目以外にも、相談の結果として生活サポート基金からの融資が行われる場合は、基本的に生活再生ローンによる融資となります。
生活再生ローンの融資は窓口の面談から解決手段として提案される
生活再生ローンの融資は、利用したい人の希望から融資を行うのではなく、相談結果から状況改善の解決手段として提案されます。
相談から融資完了後までの流れは、以下の通りです。
- 公式サイトの問い合わせフォーム、もしくは電話で面談を予約する
- 生活サポート基金の窓口にて面談を行う
- 生活再生ローンによる解決が提案された場合、申請書を作成する
- ローンに対する審査が行われる
- 審査を通過した場合、契約の内容を確認して手続きを行う
- 審査で決定した金額が融資される
- 元利均等による毎月返済、もしくは元利一括による返済を行う
- 返済完了後も継続的な支援を受けられる
面談には予約が必須となっていて、実際に面談を行うのは東京都内にある生活サポート基金の窓口となります。
生活サポート基金の窓口と各種連絡手段は、以下の通りです。
住所 | 〒162-0823 新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ6階 |
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代表電話番号 | 03-5227-7260 受付時間:月~金曜日 9時半~18時 |
FAX | 03-5227-7267 |
東京都内に住む人が相談する場合 | 03-5227-7266 受付時間:月~金曜日 9時半~18時 |
神奈川県・埼玉県・千葉県に住む人が相談する場合 | 03-5227-7280 受付時間:月~金曜日 9時半~18時 |
生活サポート基金の全体で受け付ける電話番号がありますが、住んでいる場所に対応した電話番号の方が繋がりやすい可能性があります。
また、融資が行われて返済が完了した後も、生活サポート基金が状況を見て支援を続けてくれます。
継続的な支援の際にもう一度生活再生ローンが融資されるとは限りませんが、アフターフォローが付いているのは、消費者金融や銀行にはない点です。
生活再生ローンの審査は相談者との面談の結果を加味して行われる
生活再生ローンの審査において、融資の前提である条件や申請書の正確性を確認する点は、銀行や消費者金融の審査と大きな違いはありません。
しかし、審査基準として重視する点は、様々な用途で使用できる融資と生活再建のための融資の違いが出てきます。
銀行や消費者金融の審査では、過去のクレジットカードや借り入れなどの利用履歴である個人信用情報が参照されます。
仮に個人信用情報で支払い遅延や不正利用した経歴がある場合、現在の支払い能力を疑われて、新規の契約が成立しない可能性があるのです。
一方、生活再生ローンは、そのような状況で融資されない状態の人を手助けする側面があります。
そのため、個人信用情報に他の融資先で不利になる情報がある場合でも、生活再生ローンの審査であれば通過できる可能性があるのです。
ただし、個人信用情報を参照しないわけではないため、消費者金融などで融資を断られた全員が審査に通過できるわけではありません。
また、生活再生ローンは審査前に行われる面談での情報が、審査の際に加味される可能性が高くなっています。
生活の苦しい状況や生活を再生する意思は申請書には書けないため、相談者との話の中で判断される部分があるのです。
生活や金銭状況を包み隠さず言うのが恥ずかしい人もいるかもしれませんが、面談の段階で明確に伝えるようにしましょう。
ソーシャル・エンジェル・ファンドは都内のひとり親世帯を対象に融資される
ソーシャル・エンジェル・ファンドは、東京都内に住んでいるひとり親世帯を支援する目的で行われている事業で、生活サポート基金と他の機関が連携して運営しています。
そんな支援の中で、ひとり親向け貸付と題した貸付制度も行われています。
貸付限度額 | 1件につき20万円以内(総量規制が適用される) |
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返済期間 | 40ヶ月、最長1年間の返済猶予あり |
融資利率(金利) | 0% |
遅延損害金利率 | なし |
返済方式 | 元金均等返済 |
担保・保証人 | 返済義務を負わない生活を伴走する者(生活伴走人)を付ける必要あり |
ソーシャル・エンジェル・ファンドによる融資は、前提として以下の条件を全て満たさなければいけません。
- 東京都に住所があるひとり親世帯かつ収入がある(永住権のある外国籍を含む)
- 家計診断の結果から返済可能であると認められる
生活再生ローンは一都三県を対象にしていましたが、ソーシャル・エンジェル・ファンドは東京都のみとなるため、利用できる範囲は狭まっています。
一方で、ソーシャル・エンジェル・ファンド特有の規定として、以下の項目があります。
- 世帯に対する貸付回数の制限がない(年度内における貸付総額上限はある)
- 国・自治体が行う既存の貸付制度やソーシャル・エンジェル・ファンドに関わる機関が行う独自貸付が優先されるが、場合によっては併用も可能
相談者の状況によっては、他の貸付制度との併用が可能で、生活再生ローンと合わせて融資される可能性もあります。
ソーシャル・エンジェル・ファンドは申し込みの相談と審査の窓口が異なる
ソーシャル・エンジェル・ファンドの融資も、相談結果から状況改善の解決手段として提案されます。
ただし、相談を受け付けるのは生活サポート基金ではなく、事業内で連携している機関の窓口になります。
相談から融資完了までの流れは、以下の通りです。
- 東京都生活再生相談窓口で相談する
- 貸付制度で問題が解決する場合、生活サポート基金に対して申し込む
- ローンに対する審査が行われる
- 審査を通過した場合、しんぐるまざあず・ふぉーらむに相談してから貸付紹介書を貰う
- 生活サポート基金と契約手続きを行う
- 審査で決定した金額が融資される
- 元金均等返済で毎月返済する
- 返済完了後も継続的な支援を受けられる
最初の相談は東京都多重債務者生活再生事業の窓口、審査通過後の相談は認定NPO法人のしんぐるまざあず・ふぉーらむの窓口となっています。
東京都生活再生相談窓口は生活サポート基金の部署に設置されているため、貸付制度の利用が決定した場合は、そのまま申し込みに進められます。
しんぐるまざあず・ふぉーらむは窓口が別の場所にありますが、融資されるにはその窓口での面談と貸付紹介書の提出が必須です。
審査通過後の相談へ行く際は、訪問場所を間違えないようにしましょう。
東京都生活再生相談窓口 | 認定NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ | |
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住所 | 東京都新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ6階 (生活サポート基金内) | 東京都千代田区飯田橋1-8-9 ニューシティハイツ飯田橋402 |
電話 | 03-5227-7266 受付時間:月~金曜日 9時半~18時 | 03-3263-1519 受付時間:月・木曜日 16時半~21時 |
FAX | – | 03-3239-6590 |
ソーシャル・エンジェル・ファンドの審査でも別機関で行う面談が重要
ソーシャル・エンジェル・ファンドの審査は、生活サポート基金が主体で行っていますが、2つの機関で行った面談での情報は共有されます。
そのため、生活サポート基金の時と同様に、面談で生活が苦しい状況などの申請書に書けない内容を話しておきましょう。
また、ソーシャル・エンジェル・ファンドは利子が発生しない貸付制度となっていますが、その点で審査が厳しくなるわけではありません。
貸付制度は、収入的に厳しい状態のひとり親世帯の支援を目的としているため、子育てを続ける上で負担がかからない無利子となっているのです。
一方で、返済金は次の貸付制度への利用や、その他の子供を助成するための資金として活用されています。
融資の条件としては提示されていませんが、次の子供達のために無利子でも返済義務がある点は、借りる側として覚えておきましょう。
不動産担保ローンは一都三県の住む者を対象に担保を提供して融資される
不動産担保ローンは、文字通り不動産を担保として提供した場合に融資される制度です。
貸付限度額 | 相談者希望に合わせつつ、審査を経て決定する |
---|---|
返済期間(返済回数) | 6ヶ月~12ヶ月 |
融資利率(金利) | 年利6.0~9.5% |
遅延損害金利率 | 年利14.6% |
返済方式 | 期限一括返済・利子毎月支払い |
早期返済手数料 | 3ヶ月以内に返済完了した場合、弁済元金の3%の手数料が発生する |
担保・保証人 | 不動産を担保とする 相談者の状況によって、連帯保証人を立てる必要あり |
生活再生ローンでも場合によっては不動産を担保にする必要はありますが、不動産担保ローンは不動産の売却を前提として融資が行われます。
生活再生ローンとの違いは、ある程度の金額となる不動産が担保になるため、貸付限度額を高くできる可能性があるところです。
ただし、返済期間が半年から1年以内となっているため、実際に融資される金額は不動産売却時の見込み額次第となります。
不動産担保ローンの審査は担保があっても落ちる可能性がある
不動産担保ローンも面談から利用が決定する形式で、面談から返済完了後までは生活再生ローンと同様の流れです。
面談の段階で不動産を所有していて、それを売却した場合に状況改善が見込まれる場合は、不動産担保ローンによる解決を提案される可能性があります。
しかし、不動産の担保が用意できている状態でも、審査では他の項目から落とされる可能性はあります。
そのため、不動産担保ローンにおいても、面談時に融資が必要である状況を詳しく伝えておきましょう。
一方、生活サポート基金から不動産担保ローンの利用を提案された場合でも、絶対に利用しなければならないわけではありません。
生活サポート基金に不動産を手放さない方向で考えたい旨を相談した場合、別の手段で現状の問題を解決する方法を考えてくれます。
ただし、不動産担保ローンを提案されるのは、多くの場面で状況改善するために高額なお金が必要である状況となっています。
不動産の売却が最善の手段である可能性も考えられるため、慎重に判断しましょう。
生活サポート基金のメリットは他の融資と比較した場合の金利の低さ
生活サポート基金の融資について、銀行や消費者金融と各項目を比較した場合、メリットやデメリットが見えてきます。
生活サポート基金 (生活再生ローン) | 銀行融資 | 消費者金融 | |
---|---|---|---|
返済期間 | 1ヶ月~120ヶ月(10年) | 1ヶ月~10年前後 | 1ヶ月~10年前後 |
融資利率(金利) | 年12.5%以内 | 年1.5%~年14.5% | 年3.0%~年18.0% |
融資までの時間 | 2週間から3週間程度 | 2週間から4週間程度 | 最短30分から数日以内 |
金利については、銀行や消費者金融を初めて利用する場合、一番高い金利の上限金利が適用される場合が多くなっています。
一方、生活サポート基金の金利は年12.5%以内となっているため、銀行や消費者金融よりも上限金利が低い設定です。
また、面談の結果から実際に適用されるのは上限金利ではない可能性もあるため、金利の低さは生活サポート基金の融資の大きなメリットとなっています。
融資までの時間については、生活サポート基金と銀行の場合、基本的に2週間以上の時間を要します。
そのため、直近でお金が必要な場合は、その時点で生活サポート基金に相談しても融資が間に合わない可能性があるのです。
最短融資という点のみで見た場合、消費者金融であれば最短30分で融資される可能性があります。
債務を抱えた状態では消費者金融の審査を通過するのは難しいのですが、急な出費に対してお金が必要な時は、消費者金融の利用を検討してみましょう。
生活サポート基金の審査に落ちた場合は他の審査も落ちる可能性が高い
生活サポート基金の審査に落ちた場合、銀行や消費者金融の利用に切り替えて済むと思う人もいるかもしれません。
しかし、生活サポート基金の生活再生ローンの用途として、金融機関から借り入れできない状態の人に対する支援の項目があります。
そんな項目がある生活サポート基金の審査に落ちてしまう状態の人は、他の融資先の審査を受けても落ちる可能性が高いのです。
ただし、生活サポート基金は融資できなかった場合も、無料相談から別の解決策を一緒に考えてくれる機関となっています。
審査の結果は覆りませんが、本当に現在の生活に困っている時は、続けて生活サポート基金の相談を利用するのがおすすめです。
生活サポート基金の審査は面談の情報から通過する可能性を高められる
生活サポート基金の融資は事前の面談から提案されるようになっていて、相談者本人の希望から融資されるわけではありません。
しかし、事前の相談によって相談者の生活や金銭状況を把握できるため、融資が提案された場合の審査では面談時の情報が加味される可能性があります。
また、銀行や消費者金融から借り入れできない状態の人を支援する目的もあるため、他の融資先よりも審査に通る可能性は高くなっています。
実際の融資には少し時間を要する点は強みですが、比較的低めの金利設定で必要な金額を借りられるのは、大きな難点です。
仮に審査に落ちた場合も無料相談で他の解決策を提案して貰えるため、対象地域で生活に困っている場合は、無料相談から始めてみましょう。